2025 年 06 月 04 日 Yocto Project よもやま話
今回は 2024 年 12 月 3 日~ 12 月 5 日 ( UTC ) に開催された Yocto Project SUMMIT 2024.12 をご紹介します。
Yocto Project SUMMIT については、 Yocto よもやま話 第 2 回「 Yocto Project SUMMIT 2022/05 」をご参照ください。
今回は以下の日程で実施されました。
日付 | 2024 年 12 月 03 日 - 12 月 05 日 |
---|---|
時間 | 12:00 - 18:00 ( UTC ) |
初日に初心者向けの Bitbake 講座を行った以外は、各種プレゼンテーションというスケジュールで実施されました。
プレゼンテーション資料は既に公開されており、各セッションのビデオは YouTube の公式チャンネルのプレイリストとして公開されています。
Chairman である Andrew Wafaa 氏による Yocto Project の現況についてのプレゼンテーションです。
2024 年の実績として、
・プラチナメンバーに Boeing 社が参加したこと
・2024 年に LTS である Scarthgap ( 5.0 ) がリリースされ、SPDX3 が標準となったこと
・2023 年 10 月に Sovereign Tech Fund より出資を受けたプロジェクトが完了したこと
等の報告がありました。
2025 年以降の予定としては以下が示されました。
・Yocto Project Compatible Version 3 を 2025 年第一四半期をターゲットに進めること
・CVE と NVD への対応を進めていること
引き続きメンバーシップの募集と、Yocto Project が現実にはどのように使われているかや修正すべき箇所の情報収集のために皆様からの協力を要請したいとの言葉も聞かれました。
12 月 3 日に実施されたプレゼンを実施順に紹介しています。
前半は Yocto Project の概要からレシピの編集までの内容で、Jan Simon 氏が担当しています。
後半はレイヤについての内容で、David Reyna 氏が担当しています。
JOSEF HOLZMAYR 氏担当の Live coding が実施されました。説明文に「 Be prepared to break stuff.(壊れる準備をしておけ)」とありまして、真似をされる際にはご注意ください。
devtool の使い方の講習です。今回は Michael Opdenacker 氏が担当しています。氏はオンラインで " Yocto Project and OpenEmgedded Training " を実施しているトレーナでもあります。
Rudolf J. Streif 氏によるコンテナ講座です。まずはコンテナの紹介と他の仮想化技術との違いの説明から、Yocto Project によるコンテナ構築についてを解説しています。
Eilís Ní Fhlannagáin 氏による dunfell から kirkstone へのアップグレード解説講座です。アップグレードの実例に基づいた落とし穴やツール利用について説明しています。
Talel BELHAJSALEM 氏による Toolchain 講座です。原稿執筆時点では初心者向けクラスに次いで視聴されているビデオとなります。BitBake がどのようにツールチェーンを利用しているかを解説しています。
12 月 4 日に実施されたプレゼンを実施順にご紹介しています。
Leon Anavi 氏によるラズパイ講座です。Raspberry Pi 5 の先進的なハードウェア機能を紹介しています。5 になり、性能と機能が大幅に向上してハードウェアも大きく変わりました。meta-raspberrypi 内のオプションのビルド構成などについて説明しています。
Mikko Rapeli 氏によるセキュアブート講座です。Linaro Trusted Substrate (TS) Arm SystemReady / UEFI ファームウェアと Trusted Reference Stack (TRS) カーネル、initramfs、rootfs プロトタイプの紹介およびそれらを利用したセキュアブートについて解説しています。
Iain Mensies-Runciman 氏( Ming さん)による講座です。経験に基づくプロジェクトを維持、開発、共有を容易にするためのプロジェクトの構成方法を説明しています。
Michael Nazzareno Trimarchi 氏による効果的な作業についての講座です。Yocto Project での作業する際の最適解を探る講座です。セキュリティに重きを置いています。
Enguerrand de Ribaucourt 氏による VSCode 講座です。Scarthgap から VS Code を使ってプログラムをデバックする機能が実装されました。
Cornelius Hart 氏による Rust 講座です。honister ( 3.4 ) で Poky に組み込まれた Rust の現在について説明しています。現在の Yocto ツールでも Rust ベースの yocto レシピの依存関係を維持するにはかなり手作業が必要な模様です。
Rob Woolley 氏によるアプリ開発のワークフロー講座です。アプリケーションをビルドするには、様々な方法がありますが、開発者が最適な方法を見つけるためのガイドを行っています。
Khem Rạj 氏による Heterogenous ( 異種 ) compute 講座です。将来的にコンピュート・プラットフォームのインフラに求められる要件と、それにどう Yocto が対応していくかを考えています。
Chuck Wolber 氏によるレイヤ講座です。再利用できるイメージの作り方を解説しています。
Ryan Eatmon 氏によるレイヤ講座です。レイヤをセットアップするツール間で同じコンフィギュレーションを維持する方法について説明しています。
Rob Woolley 氏によるアプリ開発のワークフロー講座です。アプリケーションをビルドするには、様々な方法がありますが、開発者が最適な方法を見つけるためのガイドを行う講座です。
Joshua Watt 氏による SBoM 講座です。SPDX 3 の機能、Yocto が SPDX 3 フォーマットで詳細な SBoM を生成する方法、生成後のデータを扱うためのユースケースを紹介しています。
David Reyna 氏によるプレゼンテーションのアーカイブの説明講座です。Yocto Project には長年にわたる豊富なプレゼンテーションやトレーニング資料があります。それらを一つにまとめて見やすくしようとしています。
Fernando Luiz Cola 氏と Bruna Jacomelli 氏によるフェイルセーフシステム講座です。Yocto で構築され、ELISA の安全ガイドラインに沿ったフェイルセーフ組込みシステムのハンズオンデモを紹介しています。
12 月 5 日に実施されたプレゼンを実施順に紹介しています。
Clara Kowalsky 氏による Yocto Project のテストについての講座です。Yocto のテストフレームワークである testimage と ptest について紹介しています。
Anna-Lena Marx 氏によるパッチ講座です。Yocto Project の世界では .bbappend ファイルがレシピ変更のメカニズムとして知られていますが、どうしてもパッチを避けられない場合の戦略について説明しています。
Marta Rybczynska 氏によるセキュリティ講座です。セキュリティ対策が義務付けられる時代に YoctoProject はどのように対応しているか、Styhead に加えられたセキュリティ関連の変更を例に解説しています。
Pierre Gal 氏による SBOM 講座です。最新の LTS である Scarthgap リリースを中心に、Yocto ベースのシステムのソフトウェア部品表 ( SBOM ) を生成するための実践的な方法を説明しています。
Peter Hoyes 氏による Arm Automotive 講座です。最近リリースされた Arm Automotive Solutions バージョン 1.1 をもとに開発時の課題についてお話ししています。
Aurélien Martin 氏による Yocto ビルドの再現性についての講座です。
Sergio Prado 氏によるルートファイルシステムをできる限り小さく構築する講座です。リソースに制約のあるデバイスに最適な、可能な限り小さなルートファイルシステムを作成するための戦略を探っています。
Daiane Angolini 氏による複数の BSP メタレイヤを扱うための講座です。 複数の BSP メタレイヤをサポートしてリリースしているディストロである LmP を使って多様なリリースタイミングに対処したり、複数のアーキテクチャに対応するために Yocto Project のメタデータをどう設定するかの説明をしています。
Chirag Shilwant 氏によるダイナミックレイヤの講座です。Yocto の特徴のひとつである、レシピとコンフィギュレーションの管理に柔軟性とモジュール性を提供するダイナミックレイヤについて説明しています。
Thomas Roos 氏と Oscar Valenzuela 氏によるAWS講座です。Thomas 氏は Yocto@AWS の利点について、Oscar 氏は OSPO の観点について説明しています。
レイヤの開発は複雑で大変です。実際の例を挙げながらヒントやコツを説明しています。
Marta Rybczynska 氏と Samantha Jalabert 氏による講座です。Yocto を学ぶ際、生徒はディストロのセットアップに時間を取られがちです。Virtual Lab でそのセットアップの時間を削減した経験と試行錯誤について説明しています。
Andrew Wafaa 氏の最初のあいさつにもありましたが、今回の YPS では、セキュリティ関連の話題やツールへの対応の話題が多かったように感じました。セキュリティについては欧米で法制度の整備が進められていることもあり、Yocto Project でも大変重要な課題として受け止めて対応を進めています。ご興味のある方は、ぜひご覧ください。
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